仮想通貨を使ってオンラインカジノを遊ぶのは違法であるかどうかという問題についてだが、結論から言うならば「オンラインカジノで遊ぶこと自体が違法であるが、グレーゾーンのまま許されている」である。
オンラインカジノは、日本の賭博法に照らし合わせると、国内で遊ぶこと自体が違法なのだが、運営が海外であるため、その違法性のもとにプレイヤーの検挙などをするのがムズカシイ、という状態にある。
違法だが「なあなあ」のうちに、「なんとなく合法」として遊べているのが、現在のオンラインカジノの状況である。
「オンラインカジノがグレーゾーン」である以上は、仮想通貨で遊ぼうが、仮想通貨で遊ばないという選択をしようが、どっちにせよ「グレーゾーン」であることだけは揺るがない。
この前提はしっかりとおさえておく必要があるだろう。
そのうえで、「仮想通貨をつかってオンラインカジノを遊ぶこと自体に法的に問題が発生する場合があるのかどうか」について、今回は調べていくことにしたい。
仮想通貨でオンカジを遊ぶ違法性を考えるための方法
「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性の可能性」を考えていくためには、「仮想通貨に関する違法性」と「オンラインカジノを利用すること自体の違法性」を区別し、「仮想通貨に関する違法性」を考えていかなければならないだろう。
まず「仮想通貨に関する違法性」を一通り考察したあとに、二段階目の考察として「その違法性とオンラインカジノが関わりを持つ可能性があるか」を考えていく。
そこから「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性の可能性」を発見していく、というプロセスになる。
「仮想通貨に関する違法性」の一つ一つがオンラインカジノと関係がないものであれば、「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性の可能性」は少しずつ消えていき、最後に残るのは「オンラインカジノを利用すること自体の違法性」だけ、ということになろう。
仮想通貨を無登録で取引する場合の違法性
まずは「資金決済法違反」に該当する、無登録で仮想通貨を取引する場合に発生する違法性を見ていこう。
仮想通貨を取引所や販売所で取り扱うためには、資金決済法に基づいた「仮想通貨交換業」の登録を受けなければならない。
「資金決済法違反」という形で日本人が逮捕された実例としては、「自作の仮想通貨を無許可で取引をした業者が逮捕される」というものがある。
この場合、違法性を持っているのは「仮想通貨を作る側」であるが、取引をする場合とあるので、違法性がある仮想通貨を使ってオンラインカジノで遊んだ場合は危険かもしれない。
だが、基本的に、オンラインカジノで利用することができる仮想通貨は、許可を受けた銘柄である場合しかないため、「無意識に」という形であれ、資金決済法違反に抵触する可能性はほぼない、と断言してもよいだろう。
仮想通貨の口座を売却する場合の違法性
仮想通貨の取引口座を第三者に売却すると、「詐欺罪・犯罪収益移転防止法違反」に抵触し、逮捕される可能性がある。
仮想通貨の口座を最初から売却するために開設した場合は「詐欺罪」、売却の意図なく所有している口座を第三者に売却した場合は「犯罪収益移転防止法違反」に該当する。
この違法性の場合、オンラインカジノと関係づけていくのは難しい。
「仮想通貨の口座の売却でリアルマネーの軍資金を手に入れる」などの行為をした場合は、その違法性が問われるものの、それは「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」とは関係のない違法性、ということになるだろう。
仮想通貨の投資を煽って金をだましとる場合の違法性
シンプルな「詐欺罪」に該当するのが、仮想通貨の投資を煽って「かならず儲かる」などと言い大金をだましとる場合である。
実際の逮捕では「価値がない仮想通貨」や「自作の仮想通貨」を売りつけるパターンでの逮捕となっている。
仮想通貨にまつわる被害や犯罪などではわかりやすいこのパターンの違法行為だが、これとオンラインカジノの関係はどうだろうか?
俺個人の考えとしては「仮想通貨とオンラインカジノを組み合わせれば確実にもうかる」もそうだし「オンラインカジノは必ずもうかる」という言葉も、やや「危険」に感じられる。
仮に価値があり許可されている仮想通貨でも「仮想通貨は絶対に儲かる」などという無責任な言葉はなるべく言いたくはない。精神の詐欺師になりかねないからだ。
「仮想通貨とオンラインカジノを組み合わせれば、理論的には仮想通貨を増やせる可能性がある(確実ではない)」とか「オンラインカジノで絶対に儲かるということはない」と言っておけば違法性が発生することはないだろうが、このあたりもマユツバでもある。
とはいえ、これも「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」とは関係ないといえるだろう。
マネーロンダリングとして仮想通貨を使用する場合の違法性
犯罪などで手に入れた金を仮想通貨でマネーロンダリング(資金洗浄)する場合、これは「組織犯罪処罰法」に抵触する犯罪となる。
犯罪組織などに所属していない人間、あるいは、何かしらの単独の犯罪行為で金を手に入れることがない普通の人間には、マネーロンダリングによる違法性はあまり関係のない話である。
それに、仮想通貨と関係なく、オンラインカジノではそもそも「マネーロンダリング」に対しては厳しい対策をしている。
そもそも「犯罪で手に入れた金」である以上は、「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」以前の問題であり、お話にならない、といったところか。
仮想通貨の口座にハッキングをする場合の違法性
仮想通貨の交換業者、仮想通貨の個人のアカウントなどにアクセス、ハッキングをした場合は「不正アクセス禁止法違反」となり、違法性が発生する。
さらに、そのハッキングを通して仮想通貨を奪い取るなどの行為をした場合は、「電子計算機使用詐欺罪」という、より重度の罪に問われることになる。
この「不正アクセス禁止法違反」および「電子計算機使用詐欺罪」のオンラインカジノとの関わりはどうだろうか?
まず、オンラインカジノの他のユーザーのアカウントに不正にアクセスする場合が考えられるが、これは「オンラインカジノでおかす犯罪」であり「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」ではない。
「電子計算機使用詐欺罪」をする場合は、オンラインカジノを通してではなく仮想通貨の口座に直接アクセスして金を奪うだろうから、これも「仮想通貨にまつわる犯罪」でしかない。
よって、これらは「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」にはなりえない。
だが、仮想通貨であれ、オンラインカジノであれ、自分が被害者になる可能性は多少なり考えたほうがいいだろう。
管理していた仮想通貨を着服する場合の違法性
仮想通貨の販売所、取引所などが、管理している仮想通貨を着服した場合は、「業務上横領罪」が適応され、違法性が発生する。
国内では仮想通貨取引所の社長が業務上横領罪を犯しているケースが実際に発生している。
これは仮想通貨の顧客や、オンラインカジノのプレイヤーではなく、仮想通貨を管理する側の犯罪でしかないため、「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」にはなりえない。
仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶことに違法性はない
以上で「仮想通貨に関する違法性」を一通り列挙したことになるが、一つ一つ検証していった結果、「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」になるものは見出すことができなかった。
違法性が発生する場合、それは「仮想通貨にまつわる違法性」でしかなく、「犯罪をする」という意図がないと犯すことができないものばかりであり、「仮想通貨でオンラインカジノを遊んでいるだけ」では絶対に起こりえないことばかりである。
ある程度の知名度があり、オンラインカジノに対応しているような仮想通貨で遊んでいる限りは、法に抵触する恐れはほとんどない、という結論をくだすことに、さしたる問題はないと思う。
最後に残るのはオンラインカジノ自体の違法性
やはり、最後に残るのは「オンラインカジノを利用すること自体の違法性」だけという結果になった。
オンラインカジノの違法性については、よく「海外のアダルトサイトで無修正や違法アップロードの動画をダウンロードしても逮捕されないのと同じだ」という解釈で「違法ではない」という人間もいる。
だが、それは「あまり捕まらない」というだけであり、行為自体が「違法ではない」ということを意味しない。
「仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性」というのは、結局のところ前提をおさえるなら、「仮想通貨で遊んでもそうでなくても、オンラインカジノで遊ぶこと自体に違法性がある」と判断するのが正確である。
捕まりにくいということと違法性を混同しない
俺は「あんまり捕まらない」ということと「違法ではない」ということを混同するべきではない、と考えている。
いまのオンラインカジノをとりまく状況が「検挙しにくい」であることは確かであり、オンラインカジノのプレイヤーは、この状況の恩恵をあずかってカジノで遊べているだけだ、という自己認識を個々のプレイヤーが持つ必要がある。
オンラインカジノの違法性の摘発は、まだまだ先のことになるかもしれないし、実は爆発寸前で明日にも起こることであるかもしれず、それは誰にも予測できない。
予測できないからこそ「知らなかった」ではなく「知っててやっている」という最低限の自己責任を持たなければならないだろう。
仮想通貨でオンカジを遊ぶ違法性についてのまとめ
- オンラインカジノで遊ぶこと自体が違法である
- 仮想通貨で発生する違法性とオンカジの違法性は別である
- 仮想通貨の違法性がオンカジで起こることは少ない
仮想通貨でオンラインカジノを遊ぶこと自体の違法性についてのまとめは以上になる。
何よりも重要なのは「オンラインカジノを遊ぶこと自体が違法である」という前提である。それを抜きにした検証は空論でしかない。
現在はグレーゾーンで遊べるオンラインカジノの今後のことは誰にもわからない。遊べるうちに遊んでおけ、といったところだ。
俺自身は、手持ちの仮想通貨の処分が終わり次第、オンラインカジノからは足を洗うつもりである。もちろん、それが終わるまでは豪快に遊ばせてもらうが。